2010年11月14日日曜日

パンダの厳しい現実について

以前ブログを読んでいただいている方から
パンダについてご質問を受け、

わかる範囲でご紹介させていただきました。

http://bit.ly/97FUZK

現在野生のパンダの数は1600頭まで回復しましたが、
これで安全と言えるレベルにはまだまだ至っていません。

800万年前から生息するパンダは「生きた化石」とも言われ、
現在でも謎の多い動物の一つと言われています。
野生パンダの生息地、彼らの起源や進化、また生態については
様々な研究が行われていますが、解明されていないことも多いのです。

1980年代、野生のパンダの数は1000頭まで激減しました。
主な原因は、パンダが日常口にする竹の種類が
激減してしまったことなのですが、このままではパンダが
絶滅してしまうと危惧した中国政府が介入し、
1987年に成都パンダ繁殖育成研究基地が設立されました。

弱っていた野生のパンダ6頭を保護し、
今では世界中で飼育環境下にいるパンダの数は300を超えました。
DNAの多様性を図るため定期的に野生のパンダの精子を確保し、
繁殖に利用してもいますが、それでも同じパンダの子孫が
増えすぎてしまっていることが問題になっています。
繁殖に優れたパンダとそうでないパンダがおり、
全てのパンダに平等に繁殖の機会を与えたいと
思ってもそうはいかないのが現実です。
とはいえ、飼育環境下のパンダの繁殖成功率と出産率、
生存率が年々伸びていることは事実で、
成都パンダ繁殖育成研究基地の功績なくしては
成し遂げられなかったことです。今後彼らの研究を
通じて、更に改善されていくことは沢山あると思います。

また、現在野生パンダの数を増やすために
「野生パンダ保護区」が設けられ、一般の人が
立ち入ることも自然を破壊することも出来ないようになっています。
野生のパンダは視力はあまり良くないのですが、
匂いには敏感で、人間や知らない匂いを感じた場合には
逃げてしまいます。彼らが平和に暮らしていくためには、
極力人間が立ち入らず、そっとしてあげることが一番だと言えます。
野生パンダの数を確保するには、これ以上自然を破壊せず、
パンダが安心して暮らしていける場所を残していくことが
重要なポイントとなります。豊富な竹と水のある広大な土地で
彼らは安心して暮らしていけるのです。
もともと繁殖の季節以外は単体で行動するパンダは
縄張り意識も強く、広大な土地が必要なのです。

野生パンダを保護していくこと、そして飼育環境下のパンダの数を
増やしていくことは今後パンダを守っていくための必須条件と言えます。
その上で今後人間は様々な研究を重ね、
いつか飼育環境下のパンダを野生に帰し、
彼らがまた子孫を残していくことが出来れば、これ以上の
喜びはないと思います。
飼育環境下のパンダを野生に帰すには、
これからまだまだ沢山の課題が残されています。
飼育環境に慣れてしまったパンダが野生で生きていけるのか?
自力で食べ物を探し、敵を見分ける能力をどのように身につけさせるのか?
事実、飼育環境下で育ったパンダを野生に帰し、
数か月で死んでしまった悲しい過去の事例もあります。
彼の死を無駄にしないためにも、これから人間がパンダのために
しなければならないことは沢山あるのです。

パンダは可愛い生き物で、
見ているだけで癒されると思う方も多いと思います。

しかし、彼らのおかれる厳しい現実を考えた時、
彼らを保護するために私達には
何が出来るだろうか?と考えてみるのも大切だと思います。

ブログを読んでくださっている皆様に
厳しい現実も知っていただきたいと思い、
本日は少し深刻な問題について書かせていただきました。

今後、皆様の疑問にもお答えしていきたいと思っています。
ご質問などあれば、書き込みをお願い致します。

最後に私事ではありますが。
今日11月14日は、私の大切に想っていた黒ラブ愛犬ももの
誕生日です。彼女は昨年癌で亡くなりましたが、
今でも私の近くでいつも見守ってくれています。
今回私がパンダプロジェクトに参加しようと決意した
大きなきっかけは、彼女が作ってくれました。
動物を救うために私にも出来ることがあるのではないか?
厳しい現実を、ただ見ているだけで良いのか?
そんなことを毎日考えていた時、このプロジェクトに出会いました。
彼女の死は今でも私にとって思い出すだけで辛い出来事でしたが、
彼女の存在なくしてはここまで来られなかったと思います。
毎日大好きなパンダと触れ合い、動物のもたらしてくれる癒しや
幸せを実感しつつも、彼女のことを思い出さない日はありません。
パンダとは全く関係ありませんが、
私を支えてくれる存在として今日はブログに書かせていただきました。

パンダ大使 梶原 裕美子